不貞行為
いわゆる浮気や不倫ですが、離婚事由となるものは性交渉を伴うものに限定されています。
しかし性交渉に至らない親密な男女関係であっても「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして離婚理由になることはあるでしょう。
この不貞行為が離婚理由となるのは、あくまで不貞行為が夫婦関係の破綻の原因となった場合です。
不貞行為があった時に既に夫婦関係が破綻していたような場合には、その不貞行為は離婚理由とはなりません。
実際の裁判でも、不貞行為があった時点で夫婦関係が破綻していたかどうかが争点となることは多いです。
浮気や不倫をした側からの離婚請求は認められるのか
身勝手な請求だともいえそうですが、一定の場合には認められます。
一定の場合とは、3つの要件を充たす場合です。
- 夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当長期間に及んでいること
- 離婚により相手方配偶者(夫あるいは妻)が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況に置かれないこと
- 夫婦間に未成熟の子が存在しないこと
※ 1の要件については、7年半の別居で離婚を認めた例もあれば、8年でも認めないという例もありますので、事案によってまちまちなようです。
※ 3の要件については、高校卒業くらいの年齢が分岐点になるようです。
悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦間の同居・協力・扶助義務(民法752条)を履行しないことをいいます。
例えば寝たきりの妻を置いたまま突然家を出て行き、生活費も送金しないというような場合です。
3年以上の生死不明
生死不明の理由は問われません。
相手の行方も分からないということになりますから、調停は不要でいきなり裁判提起することができます。
強度の精神病
強度の精神病とは、統合失調症、早発性痴呆症、躁鬱病、偏執病、初老期精神病などの高度の精神病であり、健康状態と高度の精神病の中間にあるアルコール中毒、麻薬中毒、ヒステリー、神経衰弱症などは、ここでいう強度の精神病には該当しないといわれています。
もっとも、その他婚姻を継続しがたい重大な事由として離婚が認められることはあると考えられます。
その他婚姻を継続しがたい重大な事由
上記4つに含まれない離婚理由は全てここで判断されることになります。
具体的事例(破綻と有責に分けることができます。)
配偶者(夫あるいは妻)からの暴力や虐待
その結果が重大である場合や日常的に行われる場合、虐待の程度が重大である場合、事由となり得ます。
重大な侮辱(モラルハラスメント)
耐え難い侮辱的な暴言は、相手方の人格権や人格的利益に対する攻撃であり、モラルハラスメントを離婚原因として主張するケースも増えてきています。
訴訟の提起、強制執行、告訴、告発
円満な夫婦間では、法的手段で訴えることは考えられないので、婚姻が破綻している可能性が高いと言えます。
犯罪行為
夫婦間の信頼関係を崩壊させることもあり得ます。
不労、浪費、借財等
度が過ぎれば、家庭生活の経済的基盤を破壊することもあり得ます。
長期間の別居
長期の別居は客観的な破綻となり得ます。
疾病・身体障害
その病状や程度、改善の見込みなどによっては、夫婦間の心的勾留の阻害、相手方の過度の負担となることもあり得ます。
過度の宗教活動
夫婦生活を営む上での限界を超えた宗教活動は破綻の原因となり得ます。
当事者双方の離婚意思
双方が婚姻継続の意思を喪失していますので、主観的な破綻となり得ます。